あ行
ある多重人格者の記録 24人のビリーミリガン
『ダニエル・キイス』
【概要】
1977年、アメリカ、オハイオ州で、連続強姦事件の容疑者として逮捕されたビリーミリガンという青年は、犯行の記憶が全くなかった。ビリーは24人もの人格を持つ多重人格者だった。知能、性別、言語、国籍、年齢など多彩な人格がどのように生まれ、この障害をどう乗り越えるのかの実話ベースのドキュメンタリー。
【要点】
- 人格間の記憶は基本的に共有されないが、訓練によって共有可能
- 人格にはそれぞれ生まれた理由と明確な役割が存在する
- スポットと呼ばれるところに立つと身体を操作する主導権を握れる
【要点】(ネタバレ注意)
- ある日すべての人格が統合され、すべての記憶が鮮明にあった
- せっかく統合されても、強いショックによって再び分裂する
- 順調な治療状況だったのにマスコミによる報道と世論の政治的圧力で台無しになった
- 精神病の治療や鬱の治療と解離性障害の治療は異なり、それらは悪影響を及ぼす
- 解離性障害の各人格の脳波が異なる。ふりをしている場合は脳波は同じ。
- 各人格の能力は統合されたときにそれらのMAX値とはならない
【所感】
ノンフィクションとして捉えた。結末がわからないまま終わってしまったが、せっかく順調に回復していたものをくだらない世論とマスコミのせいで台無しにされ、もはや脱出不可能な状況に追い込まれたのは残念だしいたたまれない。ただ不安定なのも事実であり、再犯の可能性がゼロとも言えない。多重人格を構成する各人格の能力や特徴はもともとの人格が経験したものを散りばめた感じで、スラブ訛りとか英国紳士などはテレビなどによって得たものだと考えられる。鍛えることによって記憶をシェアできたりするのは希望が持てると思った。なんにせよ多彩な能力を分散させてしまって勿体ないと思った。
は行
フランスの子どもは夜泣きをしないーパリ発「子育て」の秘密
『パメラ・ドラッカーマン』
【概要】
フランスに移住したアメリカ人とイギリス人の夫婦が、フランスの子どもが英米と違い、全然手がかからず行儀よくしているのを目の当たりにして、フランスの子育てにどんな秘密があるのかを明らかにする。
【要点】
- フランス人の子育てのスタンスが英米と大きく違う
- 子どもの要求に支配されるのではなく、決定権は親が握る
- 忍耐を学習する機会を与えれ、待つことを学習した子は賢く育つ
【所感】
考え方から運用まで子育てに関するほぼすべてにおいて、事実かどうかが疑わしくなるほどフランス流の子育てが優れていて、欧米流は劣っているかのような内容となっていた。夜泣きする度にすぐあやしたりおっぱいを上げてしまうと、赤子の眠る訓練を妨げたり我慢の学習ができなくなる。可愛そうに見えるが、あえて10分程度放置するなどで赤子は学習するというエピソードが印象的。
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