旧伊勢神トンネルとは
愛知県豊田市の山奥、伊勢神峠にある心霊スポットである。
通称、旧伊勢神トンネルと呼ばれているが、正式には伊世賀美隧道というそうだ。
1897年(明治30年)11月竣工[1]。開通当時の荷物輸送の主役であった飯田街道[注釈 1]の伊勢神峠に建設された全長308メートル、高さ3.3メートル、幅員3.15メートルのトンネル。
Wikipediaより
何故心霊スポットなのか、どのようなエピソードがあるのかは未だにわからない。
(調べろよ…)
友人の心霊体験を聞く
正直霊感なんてものは一切なく、今までの人生に心霊体験をしたこともなかったので、幽霊が居るものなら是非見てみたいと常日頃から考えていた。
そんな自分が何故わざわざ豊田市のはずれにある心霊スポットに行くことになったのか。発端は小学校時代の友人で10年ぶりに偶然再会したJが、霊に憑かれたかもしれないと深刻そうに打ち明けてきたことから始まる。
Jが参加した飲み会で心霊スポットの話になり、愛知県にある全国屈指の心霊スポットとして挙がった旧伊勢神トンネルに、その時のメンバの1人と後日肝試しデートに訪れたそうだ。Jによると、トンネルに近づいたあたりからオーディオが途切れ、変な音が鳴り始めたという。
シャレにならないと思って引き返したが、帰り路から肩が重くてどうにもならない状況になり、デートどころではなくなったということだ。とは言いいながらmixiには心霊スポット行っちゃいました敵なチャラい日記が写真とともにアップロードされていた。
しかし翌日、冷やかしで心霊スポットに行ったことをいたく後悔する出来事が起こる。
Jが会社のデスクに座ってPCで作業していると、両隣の同僚の肩が同時に重くなり仕事にならなくなったという。そして、Jが席を立ってどこかへ行くと嘘のように軽くなったというではないか。その日、Jは恐怖と責任感に苛まれ、会社を早退したらしい。
霊感ある人に本気で止められる
その話を聞いたからと言って自分で体験してみないことには信じることができなかった。そう考えていたものだから、何気なく別の友達に旧伊勢神トンネルにお化けを見に行こうと思っているという話をしたら、「そこは絶対行ったらダメ!!」と強い口調で言われたので驚いた。
今までは霊感が強いなんて話をしたことがなかったのに、実は小さい頃から霊感があってそういうモノが日常的に見えるんだとか真顔で言い出した。Jのアップロードした写真を見て、これはまずいやつだからすぐに削除した方がよいと伝えてほしいとまで言われた。
そうなってくると、逆に是が非でも行きたくなるのが人情である。そんなガチなスポットなら遭遇率が高いということであり、お目にかかることができるかもしれない。ものすごいチャンスではないか。こんな考え、映画なら真っ先に殺されてしまうキャラだなとか考えていた。
リベンジを提案
Jにそこへ行ってみたいので連れてってほしいと申し出ると、意外にも快諾。ちょうど謝りに行きたいと思っていたところだと言う。冷やかしで行ってごめんなさいということだろうか。謝罪に行くのに冷やかしで行くやつを連れて行っていいのかなと思ったが黙っておいた。
旧伊勢神トンネルまでドライブ
10月15日の夕暮れ時。豊田市駅でJを拾ってそこから1時間のドライブである。
“どんぐりの里いなぶ”へ向かう田舎道のコンビニで偶然大学時代の後輩に会う。大学は愛知県ではないのに何という確率なのか。
「これから伊勢神トンネルに肝試しに行くんだ」
そう言うと、
後輩「え?男2人でですか?!」
と彼女連れの後輩は言った・・・
そうか・・・世間の目はそうか・・・
Jは何故かワンカップ大関を買っていた。何故今それを買うのか聞くと、お供え物らしい。
「え?前憑かれた霊っておっさんなん?」
J「わからんけど酒がどうというよりそういうものを持って行くという気持ちが大事。」
なんだこの己の行動に対する自信は・・などと思っているとトンネルに到着した。
知らない人の動画だけど、YOUTUBEにあがっていたのを紹介。
今見ても悪寒が走るというか、ゾクゾクする非常に雰囲気のある場所だ。
旧伊勢神トンネルを肌で感じる
トンネル幅は狭く、車一台分しか通れない。なんでも軍隊の大砲が通れる広さを基準に設計されたとか。エンカウント率を上げるために幌を開けてオープンカーにしてトンネルを通り抜けることにした。
もう辺りは真っ暗で肌寒い。気候的な寒さだけじゃない別の寒気を感じる。リトラクタブルのライトが前方を照らし出すと、トンネルの壁がやけにボコボコで霊的な雰囲気を醸し出す。謎の水気もたっぷりある。心臓がバクバクして止まらない。(止まったら死ぬけど)
しかしすぐに反対側に抜けてしまった。何事もなく。
静かにUターンしてそのまま来た道を戻り切った。何事もなく。
とは言え何となく長居したくなかったのでそのまますぐに帰ることになった。
Jはトンネルにワンカップ大関を置いてきて満足そうにしている。
後日談
半年以上経ったある日、大学時代の友人に写真を見せながらその話をしていると、マウスを握っている腕がやけに痺れていることに気が付いた。痺れでマウスが動かしづらい。
そのことを笑いながら言うと、ひきつった顔で友人も
「腕の痺れ、僕もなんだよ・・・」
2人してびびりながら無言でPCをそっと閉じた。
くわばらくわばら。