システマトレーニングメモ~ストライク

システマ

ストライクとは

ストライクは、システマの打撃技のことだが、奥が深すぎて語り尽くせないほど述べておかなければならないことがある。パンチのように見えるが、格闘技のパンチとは全く違うコンセプトになっている。まずはどんなものか映像で見てみよう。

ストライクの打ち方

拳の作り方

空手などの拳の作り方とかなり異なる。刃牙などの格闘漫画では、
「破壊力=スピード×体重×握力」などと表現されているが、ストライクの拳は決して硬く握り込んだりせず、どちらかというとふわっとした状態をヨシとする。接触面も、空手の拳は人差し指と中指の2指をメインにするが、システマの拳は人差し指、中指に加えて薬指、小指も使い基本的に4指でフラットに当てる。そして相手と接触したときから拳ができ始めるくらいのイメージがよいとすら言われている。

更には握るときについても、指を折りたたんで握るのではなく、指先の方へ腕が迎えに行くように握る。何が違うのだと思ってしまうが、腕内側の筋の張り方が違ってくる。この程度の影響も考慮するくらいテンションについてデリケートなのである。

腕の振り方

振り子のように腕を降り、腕自体の重みを使って腕を投げ出すかのように打つ。
肘が90度程度になるのが最も効果的で基本となる形だが、相手の面に対する入射角は様々。この角度を変えることで、身体全体に影響を与えたり、打つ方への跳ね返りを緩和することもできる。

時には肩たたきのように上から下へ振り下ろすようなストライクや、のように変幻自在の軌道で打ち出すこともある。

普通のパンチだと、起点が胴体の根本にあったり、肩あたりにある。
ストライクの場合は、動作の起点が拳にある。

俗に言う“先端から動く”である。

イメージは、列車である。先頭車両のみが駆動し、続く車両は引っ張られるだけである。

肘、膝、足でのストライク

ストライクは拳だけではない。でも同様の原理で相手を打ったりする。

ストライクの受け方

ストライクが当たった直後に息を吐く。
決して腹筋を固めない。冒頭の動画で説明されている通りだが、これがなかなか難しい。腹筋を固めずしてボディーブローをまともに受けたら悶絶必至なので、反射的に腹に力を入れてしまう。そうするとますますダメージを受けることになる。

ただ無策で脱力して受けるわけではなく、腹圧を全身を均一に微かに入れるイメージ。
インパクトの直後に鋭く息を吐き、吐いた分だけすぐに鼻から吸う。
暖簾で包み込むような感じに衝撃を散らす。(身体をくの字に曲げるというわけではない。)
うまくいった場合、打った側から「ゴムタイヤを殴ったような感触」というコメントが出る。

過去にシステマ創始者のミカエル・リャブコ氏のストライクを受けたことがあるが、鳩尾から内臓深くに入ったような感触で、余りにも重く、1分くらい呼吸をすることができなかった。背中側から刺激を入れて痛いの痛いの飛んでいけみたいな処置をされて何とかリカバリできたが、受け方がまずいとしばらくは何もできないくらいに崩れ落ちることになる。

ストライクの目的

ストライクはシステマの打撃技だが、パンチのように相手を殴りつけてダメージを与える以外に目的がある。元来システマは非破壊で相手を制する技術であるため、関係性をコントロールすることに主眼を置き、平和的に衝突を終わらせることにある。

そのため、相手をコントロールする目的で、ストライクを相手の死角から連続的に浴びせてテイクダウンにもっていくなどの使い方がよく見られる。

悪い例のチェックポイント

良い例のチェックポイントは、記述がとても難しい。
常に“それだけではない”が付きまとうからだ。
これまで何百回とトレーニングしてきた中で、幾度となく指摘されたダメなポイント。
ダメなポイントは指摘しやすいし、こちらとしてもわかりやすい。
いくつか例を挙げていく。

肩が力んでいる

肩に力が入っているというのが最頻出のあるあるNG指摘になる印象。
しかし、肩に力が入っていたら何がどういけないのか?

  • テンションが入った箇所で身体の連動が止まり、腕だけのパンチになって、腕自身の重みがなくなり威力が目減りしてしまう。これが一番大きなデメリットになる。
  • 相手に接触した際にテンションが入っている肩で相手の情報が遮断され、柔軟な対応ができなくなる。
  • ストライクの反動が相手から返ってきてしまい、こちらのダメージになってしまう。

などが考えられる。

肩が上がっている

これは“肩が力んでいる”とかなり似ているが、肩が上がっているということはテンションが入っていて力んでいる状態ということになる。

この判定はかなりシビアで、全然そんなつもりがなくても「はい、肩があがっているよ!」と言われる。ストライクを打つときにもう片方の自分の手を肩の関節辺りに手を当てて、関節の骨が前に出ているようではダメということになる。いや、絶対出るでしょと思うけども、デキるシステマーの肩を触らせてもらうと全く前に出ていなかったりして笑える。

肩がピクっとすることで相手に初動がバレ、攻撃が読まれてしまう。
肩がまったく動かないというだけで相手の反応が遅れ、ステルス性の高い打撃が可能になる。

背中が動いている

“男は背中で語る”のような表現があるが、背中で何かを語っている状況は、システマ的にはあまりよろしくない。つまりストライクを打つ時に、背中がボコボコ動いているようでは理想的なストライクにはならない。

姿勢が悪い

姿勢が悪いというのは主に、”背筋がまっすぐではない”という状態のことを指す。
背筋が曲がっていると、重さも体幹のパワーも伝わらない。

手だけで打っている

身体全体の繋がりが切れた状態で手だけで拳を作って殴ってもまったく重みのない軽いパンチのようなものになってしまう。体重を乗せろというのとも少し違うが、身体全体に“呼吸が通っている”状態で打つのが望ましい。身体全体のテンションが均一になっていて、ひとつの構造物のようになっている状態をしばしば”ワンユニット”と呼ばれたりする。

相手に体重を預けてしまっている

重いストライクを打ちたい。そういう気持ちが起こしてしまう失敗例だが、相手に寄りかかってしまうようなストライクはよくない例として取り上げられる。インパクトの後、押し込むようにストライクに重さを足そうとしたときに、相手がすっと支えを取り除いたらどうなるだろうか。
バランスを崩してしまい、相手にコントロールするチャンスを与えてしまう。

手首が曲がっている

手首が曲がっていると、そこでパワーやセンシングが途切れてしまうというデメリットがある。何より手首にダメージを負い怪我をしてしまうため、手首がまっすぐであることが大事である。

呼吸が止まっている

呼吸を止めて打つ場合もなくはないが、基本的には呼吸に合わせて動く方がよく、呼吸が止まっていることで過剰なテンションがかかるため、重みが伝わらなかったりインパクトの反動が自分に返ってくる可能性を増やすことになる。

ストライクの練習方法

今後、追加していきます。

 

 

 

 

 

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