中国茶詐欺@上海

わかりにくい中国茶詐欺の手口

2014年8月、ドローンが飛ぶ豫園付近の交差点で中国人の女の子が英語で話しかけて来た。

普通に飛んでるドローン

「写真撮ってもらってもいいですか?私たちで」

どうやら2人組の女の子。もちろん断る理由もないので快諾して写真を撮ってあげたら、他愛もない話が始まった。

「日本の方ですよね?上海は初めてですか?これからどこに行くんですか?」

そんな会話からしばらく色々と会話を楽しんだ。ここに来たのは豫園を観てみたいからだと答えると、そこも素敵だけどもっと面白いところがあるよと教えてくれた。

2人のうち1人が(妹だったか従妹だったか忘れた)が、夏休みで上海に来てるから、文化的で歴史を感じられるセレモニー体験ができるところに行く予定なんだけど一緒に行きませんかと誘ってきた。

しかし、昼食を食べていなくてお腹が空いていたので、まず小籠包を食べに行きたいからごめんねと断った。どこの店だと聞いてきたから教えたら、そこ知ってるから案内してあげると言ってきたのでお言葉に甘えてついていくことにした。

店に着いたら、食べ終わってからでいいから一緒に行きたいと言われた。待たせるのは悪いしあんまり有名じゃないところの観光で時間を使いたくないなとも思ったが、なんだかんだ結構話も弾んだし、そんなに一緒に行きたいなら行ってもいいかなと思い始めていた。

余談だがそのお店、”鼎泰丰(ディンタイフォン)”のメニューを見てひとつガッカリ。店舗一覧が載っていて、東京、横浜、名古屋、大阪、京都・・・と日本に店舗がありまくるではないか…。ここまで来て日本にも展開しているチェーン店を選んでしまうとは・・・”るるぶ”か”まっぷる”か忘れたが大々的にこの店をおすすめしていた旅行情報誌を恨む。

鼎泰豊(ディンタイフォン)店舗

女の子たちはもう食べたからと頑なに何も口にしなかった。

快く写真撮影に応じる女の子たち

食べ終わった後、早く豫園に行きたかったが、待ってもらったし、もう一緒に行くしかない状態になっていた。素直についていったら10分程歩いたところで、え?ここ?というようなボロい建物に到着した。どうやらお茶のお店のようだ。奥に通され席に着くとき、女性2人を先に行かせようとしたのに、どうしても自分を中央にして2人が挟むような位置に座らせたがった。そのときは男性を立てる儒教の文化なのかなとか旅行者だからかなとか勝手に解釈してしまった。後から考えるとこの配席は、途中で逃げられないようにするための布石だったわけだが・・・

花が入った華やかな工芸茶

しばらくするとチャイナドレスを着た若い女の人が現れた。そして中国茶の実演が始まった。
中国語で話しているため、連れて来てくれた姉の方が通訳しだした。まず数字を選ばされ、選んだ数字に対応するお茶を試飲しろということだった。ちょうど選んだ数字の回数試飲したような気もする。花が入っているお茶(工芸茶)だとかいう珍し気なものもでてきた。

しかし質はお世辞にもよくなさそうだった。昔愛知県で訪れたことのある中国茶カフェの方がずっと質が高いものだと思ったくらいに。

ここでハッとした。当然料金が発生するはずだ。流暢に次々と説明が行われるこの状況に水を差してまでこの質問はできないだろう。特に遠慮がちな日本人ならば。しかし俺は違う!聞くべきことは聞ける男だ!と自らを鼓舞しながら言い放ってやった。

「ちょっと待って!これってタダなの?」

豆鉄砲をくらった鳩のような顔になる2人。

「えっと、あ、うん、タダだよ。」

それならまあいいかと話を聞き続けてしまった。だんだんとお茶の説明がやけに詳細になり、その流れからお茶をしきりに奨めて来た。そして、いつの間にか販売営業のようになっていた。派手に装飾された箱付きで1人300元だとかいう話も出てきている。1元は20円くらいだから6000円程度ということになる。高いしお土産のお茶なんて要らないと言いながら買わないという意志を示したら、一緒に来た2人が、彼女は実演したのだからお茶を買わないとダメだと思うと言い始めた。さらにお茶の効能や種類の詳細説明を続けて追い込んでくる女性。このとき何故か通訳していたはずの姉がどう考えても通訳の内容以上に補足説明をプラスしていることに気づき、違和感がこみ上げて来た。こいつらグルかもしれないな・・・

そう思った瞬間、姉が「あたしこれ買う!」と言い出した。あれ?グルじゃないのか?(グルならこんなの容易い演出だが、とっさにそう思ってしまう)300元払うのか。おいおいそれは高いんじゃないの?と諫めようとしたが決意は固いようだ。対して自分は挟まれていてもう逃げられないしこの2人が店とグルという証拠もないため、何かしら支払うしか道が残されていない状況に追い込まれていた。さっきタダと言ったじゃないかと抗議してみると、姉がこの人の分まで買うとか言いながらもう300元分買いだした。

もしグルじゃなかったら申し訳ないので勉強代と思って手持ちの現金で支払える200元程を姉に渡してそこを出た。興奮していたのか腹が立ったからなのか、お茶は受け取らなかった。

姉が「怒らせちゃった?なんかごめんね」と言いながら胡散臭い仏具のような紐のストラップをくれたが、センスが悪く使いようがないのですぐに捨てた。また、メルアドを教えてほしいなどとフレンドリーに接してきた。その後何かやりとりしたりすることはなかったが・・・

後々考えたら実演を受けた人数は3人なのに900元支払っておらず600元だったのもおかしいのだが、その時は早く出ることばかり考えていて気が回らなかった。その姉妹もし顎までシロかクロか決定的な証拠がなかったが、帰国後色々と調べたところによると同様の被害事例が後を絶たないことがわかり、クロだったのだと確信した。もっと被害額の多いケースもあるようだった。写真撮ってくださいから始まる一連の手口を思い出して、グレーだとしてもクロと言えない実に巧妙だったなと感心してしまった。もし写真を撮ってあげると言われれば怪しく感じていただろう。旅行者はいつも頼んでいる方だから頼まれたときに断ることはほとんどないと思う。その善意につけ込むとは卑劣なり。

結局時間を費やしてしまい、豫園の中に入ることはできなくなってしまった。
仕方なく豫園周辺をぶらぶらしたが、気分が晴れることはなかった。

こんなことがあった後だが、旅先で話をした人間が怪しいからといってこういう地元の人たちとのコミュニケーションをすべて拒絶すると旅の醍醐味がなくなってしまう。

グレーかもしれない、だけどどうなるんだろう、ある程度流れに乗っかってみるかとかいう冒険心はきっとこれからも持ち続けるだろうと思う。どこまで攻めるかは人それぞれ、度胸と経験で判断するしかない完全な自己責任の世界だけれども。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。