深夜の帰宅、鍵がないことに気づく
ここのところ仕事が忙しく、いつものように0時過ぎに帰ってきた。
ドアの前で鍵を探すが見当たらない。ポケットというポケットを全部ひっくり返して中身をドアの前に並べてみたが、鍵はない。
鞄の中かとひっくり返すが、ない。
そんな・・・。
雨が降る中、車に戻って中を探すが、やはりない。
シートの下にも横にもない。職場のデスクに忘れて来たのかもしれない。
仕方ない。戻って探しに行くか。
職場に戻って探す
30分かけて職場に到着。デスク周りをチェックするも鍵らしきものは見当たらない。続いて守衛がいる事務室に行って鍵の落し物がなかったか確認するも、届いていないと言われてしまう。
絶望的か・・・。
いや、、、
もしかしたら鍵は開いていたのではないか。そういえばドアを開けてみることをしていなかった。そういえば今朝ゴミ捨てに行ったとき、少しのことだからといちいち鍵を掛けなかったに違いない。そしてそのまま出勤したのだ。
そうであれば鍵は部屋の中にあるはず。今思えば都合のいい過去改変だ。
もう一度ドアを確認しに帰る
雨の中をまた30分ドライブした。
そして家に着き、深呼吸してドアノブに手をかけた。
ガッ
ガッ
しっかり鍵がかかっているではないか。冗談じゃない。
もう一度鞄の中をひっくり返す。すべてのポケットを再チェック。車の中も再チェック。やっぱりない。
ダメ元で住宅管理会社に電話してみたら女性の声が聞こえてきた。
こんな遅い時間にやってるなんて!と一瞬顔が明るくなったが、すぐにそれが録音された再生音であることに気が付く。そりゃそうだよな。営業は10時からだと!?
鍵のレスキューを呼ぶ
開錠作業前のゴタゴタ
仕方がない。鍵のレスキューを頼むか。
携帯で検索して一番上に出てきたものが、鍵開け5800円~とあった。安いホテル一泊と同等程度かもしれないが、やはり自宅で休みたい。
電話すると30分程度で到着できるという心強い言葉。
費用を確認したら鍵のタイプによるので行ってみないとわからないと言う。
鍵のタイプはカードタイプだと即座に伝えるも現場に行って見てみないとわからないの一点張り。これはちょっとしたリスクだなと思ったが流石に開錠作業の前にはわかるだろうと考え、業者を呼ぶことに決めた。
寒い。雨が降る中車の中で30分以上待ったが来ない。再度電話をかけるも今向かっている、そろそろ着くというだけ。結局50分後くらいに来たような気がする。
手にいっぱいの道具を持った若いにいちゃんが現れ、鍵の形状を確認する。
「んー、このタイプは5万円ですね。」
「は?? 5万円ですか?5800円~ってWEBサイトに書いてあったのとイメージが違うんですが・・・」
「そうですか?いくらくらいで考えられてました?」
「まあ、いっても1万円くらいかなと」
「これはカードタイプですし難しいですからね~」
「カードタイプであることはお電話の時点でお伝えしたんですけどね」
そんな額ならもう開錠をお願いするつもりはないと言うと、ここまでの出張費が4000円になるなどと面倒なことを言い始めた。
見てみないと見積もれないのならその前に出張費がかかるのはおかしいのではないかと思ったがそういう決まりだと言う。納得がいかない姿勢を見せていると、次の開錠依頼が来ているらしく、うだうだ揉めている時間がないのか1万円ならやるのか聞いてきた。
この派遣されてきた若いイチ錠前技師に、何故80%OFFもの裁量があるのかわからないし、一声4万円もの値引きが非常に胡散臭いが、先ほどの会話から1万円ならやると言わざるを得ない状況になってしまった。
1万円なら考慮していたという自分の発言の一貫性を失いたくないこともあり、お願いする方向で腹をくくった。
ただ、やる方向になった後にいくつか知らされた新たな情報がでてきた。
開錠には大きく次の3パターンの方法があり、費用が変わるとのこと。
- 何も壊さない方法
- のぞき窓を破壊して中から開ける方法
- 鍵そのものを破壊する方法
通常1を試してダメだったら2試し、それでもダメなら3になるようだった。
3の場合、その後の交換費用が198000円になると言う。
笑いながら何を言っているんだという顔をして見せたら、タブレットで鍵メーカと対応する値段のリストを見せてきた。こんなExcelで好きにつくってPDFにしただけのようなリスト、何の信憑性もない。
いずれにせよお話しにならない額だ。トラブルの臭いがプンプンするので作業前にキッチリ話し合いをして以下を合意した。
- 鍵を壊さない方法だけを試し、費用は1万円
- 鍵開けに失敗したら出張費含めて無料(WEBサイトに記載あり)
- 作業時間は最大10分(次の依頼があるためそこまで行く移動時間を逆算したらあまり粘る時間がないため、業者側からの提案)
そして、作業開始前に身分証明書を見せてくれと言われた。忘れていたが当然の流れだ。確認は免許証を数秒見ただけで終わり。顔すら見ず住所だけ確認したように見えた。なんという適当さ。これにはゾッとさせられた。
例えば財布を拾った人が住所を特定して張り込み、家主が外出した隙に業者を呼んだら軽く開錠されてしまいそうな軽さに思えた。
開錠作業開始
どうやらカードキーをその場で作って開錠する方法を選択したようだ。
カードキーと言っても電子的なものではなく、カードに無数のパンチ穴が空いていて機械的に開錠するタイプになる。だからその場での作成が可能になるのだろう。
よく見えないが、布のようなものと粘土のようなもの?と金属の板をスロットに刺して抜き、接触跡を見て穴の場所を特定する作業をしているようだった。
約10分後・・・
「このタイプは難しいですね。無理でした。」
約束どおり支払いなく撤収する業者。その点は潔くて助かった。開錠できなかったのにも関わらず何故か少し安心したような妙な気分になっていた。
寝床探し
引っ越す前ならこんな時に泊めてくれそうな知り合いくらい居たものだが、ここは新しい土地。情けないことに頼れる人もおらず、途方に暮れる。
楽天トラベル等で検索するも周囲には全く宿がない。
車でしばらく移動すればあるにはあるが、もう午前2時半を過ぎているし、到着したら3時でもう色々と辛いので最寄り駅の前にある漫画喫茶で寝ることにした。
久々の深夜の漫喫に訪れたがなかなか過酷な環境だ。携帯の充電ができるのはありがたいが、何か異様に臭いし誰かしらのいびきがうるさい。そんな中で何故か漫画を2冊読んでしまう。何やっているんだいったい。
翌朝、住宅管理会社に連絡
次に気が付いたら何も変わらない薄暗い空間だったが、時間は10時半を指していた。今日はごく普通の平日。当然会社に行かなくてはならない。同じ服であることなどは誰も気にも留めることはないだろう。フレックスのため遅刻はないが自分が主催した会議はなかったはずだがもしかしたら何かをすっぽかしているかもしれない。とにかく住宅管理会社は営業している時間だし、スペアキーを手に入れるため管理会社に連絡した。
経緯を話したが、もうスペアキーはなく、マスターキーしかないとのこと。鍵を失くした場合は鍵交換になると言われた。鍵交換=198000円という昨日の額が頭をよぎてビビったが、14000円とのことだった。198000円とは何だったのか。
ただ、鍵交換に立ち会っていると会社に行くのが昼過ぎになってしまうため、勝手に鍵交換してもらって新しい鍵をポストに入れておいてもらうことにした。
これで一安心だ。
結果オーライ
車を取りに家に帰り、会社に向かう。
いつもの駐車場に入り奥へ向かって走行中のこと。遥か前方の路上に、見覚えのあるキーホルダーが付いた鍵が落ちているのを発見した。
いつもは車のドアについているボタンでアンロックするのに昨日は珍しく離れたところからポケットの鍵を取り出してリモートアンロックしたのを思い出した。そのときにポケットから家の鍵が落ちてしまっていたのだろう。雨が降っていたし、昨日は駐車場までは探しに来ていなかった。
急いで管理会社に電話したら、まだ交換作業は実施しておらず、問題なく鍵交換をキャンセルすることができた。深夜に家の鍵を失うとどれほど大変なことになるかを再認識した1日だった。
結果論だが、鍵のレスキューが鍵を開けられなくて本当によかった。
おそらく作業料金10000円だけではなく出張料4000円に、深夜料金、消費税等々取られていたことだろう。
悪徳鍵レスキューの実態
これは後から調べたことだが、鍵レスキュー業者は結構トラブルを起こしているようで、冷静に検索すると悪評の数々がヒットする。もちろんすべての鍵レスキュー業者が悪徳業者だというわけではないと信じているが。
「国民生活センターのADRの実施状況と結果概要について」より
出張開錠サービスの料金に関する紛争
http://www.kokusen.go.jp/pdf/n-20160602_1.pdf#page=52
「鍵なくした」請求10万円も 料金トラブル相次ぐ、10年で5倍 背景に厳しい業界事情
https://www.nishinippon.co.jp/item/n/435240/
ピンチの状況だと冷静な判断ができなくなりがちだが、やはり何か違和感があるときはその場で毅然とした態度で対応したいものだ。後々思い返しておかしいと思っても過ぎてしまったことをひっくり返すのは難しいことが多いようだ。