旅の魅力は何ですか?
「休みの度に海外旅行に行って何がそんなにおもしろいんですか?しかもひとりで!?」
「誰かと行った方が楽しくないですか?」
このありきたりな質問に対する自分の答えを改めて考えてみました。
僕がしているのは旅というほどでもなく個人旅行なんですけど、パッケージツアーと区別して「旅」とします。だいたい年に2回ほど毎年海外旅行を続けていると、次のような質問をされたりします。
長期滞在のバックパッカーにならなくても旅の魅力を十分味わえる理由がわかると思います。
モノより思い出
モノを所有することによる歓びは、モノを失えば消えてしまいます。
それは、全く自分自身の身になっていないということです。
むしろそれを持っていなかったときよりも不幸と感じてしまうかもしれません。
対して思いでは経験であり、経験は知識となり、失われることのない価値になります。
例えば震災が起きたとき、高級車やブランド時計のコレクションなどのモノは無に帰す可能性がありますが、思い出や経験は全く影響を受けないといったところでしょうか。
刺激が欲しい
何気ない日常は心地よいですが、平穏すぎるのも少しばかり退屈です。
初めて訪れる場所、初めて触れる文化は刺激がたっぷりです。
また、それらを通して改めて気づかされる自文化についての不思議発見。
もうアドレナリン出まくりです。
刺激を伴って体験したことは、間違いなく人を成長させることでしょう。
価値観が変わるという話を聞いたことがありますが、何かを見たりしていきなり変わるというよりは、旅先の日常風景から味わう小さな刺激や気づきを蓄積して、じわじわと自分の常識が更新されていくような感じです。
何故ひとり旅なのか
自分好みのプラン
何人かで旅行する場合、メンバそれぞれの体力も違えば好みも違います。
当然行きたいところに行けない可能性が出てきてしまいます。
もっと動けるのにじっとしていなくてはならなかったり、疲れていても、メンバに迷惑を掛けないようにと無理をしなくてはならないこともあるかもしれません。
その点、ひとり旅では自分のペースで何もかもやりたいようにできます。
美術館で心打たれた絵画に出会ったのなら、1時間その絵の前に立ち続けても良いのです。
人とのコミュニケーション
ひとりだけだと、旅先での全ての交渉ごとは自分ですることになります。また、そこが海外であれば外国語でのコミュニケーションが必須になります。今まで勉強してきた英語学習の成果を試す楽しさもありますが、根本的に人との会話は語学抜きにしたコミュ力が試されます。コミュ力が高い人は、全く外国語が喋れなくてもすぐに打ち解けてしまいます。慣れない外国語で放ったジョークが受けたときの”してやったり感”はたまりません。
語学関係なしと言ったもうひとつの理由は、日本人同士のコミュニケーションも結構あるからです。魅力的な観光スポットは結構決まっているもので、自分と同じように地球の歩き方を握りしめてウロウロしている人たちがたくさんいます(笑)
旅先では初対面でもすぐに仲良く話ができます。日本に居たら何の共通点もないですが、海外で今ここに一緒にいるということが強烈な共通点になるため、気軽に挨拶して声をかけられる雰囲気になるのです。
自分との対話
しゃべる相手が居ないと、物思いに耽り始めたりします。
普段考えもしなかったアイデアがどんどん溢れてきます。
よくひとり旅で自分探しという言葉が出てきたら、そんなの旅に出なくてもどこでもできることだとバカにされがちですが、あながち間違っていないと今は思います。
日常生活では日々のタスクに忙殺されて目先のことしか考えられなくなります。例えば志高く入学したのにバイトやサークル漬けになっている大学生や、子供の頃からの夢だった職業に就いたはずなのに、配属部署が希望と違っていたりして元々やりたかったはずのことを忘れて毎日漫然と働いている社会人など…
自分との対話によって、ふと自分の今までの人生を振り返り、気づいてしまったりするものです。通勤電車では、明日の会議資料を作っていたり企画書の構想を練ることはあっても人生レベルで物思いに耽る余地はありません。
ひとり旅中の長時間移動など、あり余る時間を持て余して、この世界がどうして存在しているのか、生きることの意味だとか宇宙の始まりから人類の未来のことまで想像してしまうことさえあるでしょう。
出会いやすさ
ドラクエなどのRPGと同じで、村人や他の旅人と話したとき、ひとりならイベントが発生しやすくなります。仲間になったり何かアイテムをもらえたり、異性とちょっとしたロマンスがあったりのゲームみたいなイベントです。でも仲間がすでにいてパーティが出来上がっていたらイベントは発生しなくなります。
トラブル時にも、ひとりなら特別サービスをしてもらえやすくなります。自分のミスで宿の予約日が間違っていたのに、そのままの料金で別宿をすぐ手配してもらえたり、飛行機を乗り過ごしたのに別便を無料で手配してもらえたりしました。複数人居たら難しかったと思います。
趣味をまたぐ趣味
旅は趣味をまたぐ趣味と言えます。
例えば”写真撮影”は趣味横断的な趣味です。天体観測×写真、旅行×写真、スポーツ×写真、グルメ×写真、バードウォッチング×写真など、色んな趣味に掛け合わせて楽しめます。
旅も同様です。
僕も写真が好きですが、旅先で素晴らしい景色を目の当たりにして、普通のコンデジで撮るのは被写体に失礼なんじゃないかという気持ちになって一眼レフを購入したのがキッカケです。海外旅行中は贅沢な被写体にたくさん出会えるため、写真が趣味だと旅の楽しさが跳ねあがります。
また、南国に行けば、旅行ついでに世界屈指のポイントでダイビングやサーフィンを楽しめますし、雪国でもウインタースポーツや登山やアウトドアなどのアクティビティのチャンスが数えきれないほどあります。グルメやお酒も言うまでもなく、遺跡巡りや美術館巡りも、何でも有名どころが関わってきます。要は、趣味の数だけ旅行と絡めることで、世界最高クラスの有名どころの美味しいところをつまみ食いできるという素晴らしい体験ができるわけです。
旅は総合演習
限られた期間で旅を最大限に楽しむためには、魅力的な旅程を作成する情報収集力が必要です。トラブル時の問題解決能力や、アグレッシブに活動する体力、これらは日頃の生活で培ってきた能力をプライベートで発揮する機会です。
小中高で習ってきた地理歴史、政治経済で聞いたことのある言葉に現地で遭遇します。美術館で教科書に載っていた絵や彫刻を目にすることもあるでしょう。懐かしい気持ちが沸きあがるのと、改めて現地の文化を勉強してみる気にもなります。覚えていたら覚えていたで、「あの時の勉強も無駄じゃなかったな」と実感できる。
それって素晴らしいことだと思いませんか?
さあ、旅に出てみましょう!!