しばらくして瓶ビールをもって現れた。小声で「ビアーでございます」とまるでドラッグでも注文したかのような素振りである。そして全く冷えていない常温で炭酸も抜けまくったクソまずいビールだったので、苦笑いする。
どういうことかな。インドではお酒がNGなのか?とは言え“キングフィッシャー”など有名なインドビールもあるではないか。どうなっているのか調べてみた。
インドのお酒事情
インドは州によって飲酒に関する法律が異なるようだ。
例えばデリーでは25歳以上、ムンバイでは18歳以上(ワイン)、21歳以上(ビール)、その他のアルコールは25歳以上、などなど。ちなみに煙草は18歳以上のようである。また、インドはヒンズー教徒やイスラム教徒、仏教徒がおり、どれもあまりお酒をいいものとしていないこともあり、お酒に対して良い印象がないのかもしれません。むしろ大麻の方がカジュアルと考える人も少なくないとか。飲酒運転禁止の他に、公共機関への持ち込み禁止、公道でラベルを見せることすら禁止されているようだ。
カジュアルなお祭り
レストランから出ると辺りは暗くなっていた。さっきの神様の人形とかオブジェも電飾でキラキラ光っているし、道に花とかも飾られている。
こちらは象の顔で有名なガネーシャ様。
ベールをめくって中を覗いてみると、人がたくさん入っており、カジュアルに祈ってる人たちが見えた。生バンドみたいなのもおり、神聖な感じは皆無で軽いノリが伺える。
インドの宗教観でいいなと思ったのは、神様たちがヒーロー扱いされているような雰囲気。キーホルダーやグッズなどが屋台で売られていて子供たちはカッコイイものとして触れている。人気の神様などもあり、神話も人間ドラマのようでとてもカジュアルである。
例えば・・・ガネーシャ誕生の話。
ガネーシャ誕生のお話
その昔、パールヴァティーという女神が自分の垢で人形を造りました。
その人形には命が宿ったため、ガネーシャという名前の息子になりました。
パールヴァティーは、入浴中見知らぬ人から家を守るように息子に言いつけました。
そこへ主人である破壊神シヴァが帰宅しました。
面識がないためシヴァが父とは知らず、言いつけを守るためシヴァを家に入れまいと家への侵入を阻止しました。
シヴァは激怒しガネーシャの首を切り落として遠くに投げてしまいます。
後々それが息子だったと知ったものの、首は見つかりませんでした。
仕方なく、最初に出会った動物である象の首を切ってガネーシャの頭として復活させました。
・・・めちゃくちゃ雑で適当なお話しだが、ガネーシャは大人気の神様である。
子供にカーストの話をされてしまう
もう1つちょっと驚いたインドらしいエピソードがあるので書いておく。
おっさんが喋りかけてきたので相手していると、遠くから少年が手招きしてきた。少年の方に寄って行くと、「あんなやつと喋っちゃダメだよ」と言うではないか。
「え?なんで?知り合いなの?」と聞いたら「ノー!・・・カースト(小声)」と答えたではないか。
びっくりした。
カースト制度は廃止されたと学校で習った記憶がある。
まだまだ残っているということなのか。しかもこんな子供がそんな意識なのか。
「君は小学生?」
「インターナショナルな小学生」
きっとインテリなんだろう。
完全に夜になったので宿に戻る。今日一日色々あったが、インド人のイメージが変わった。ターバン巻いてカレー好きでウソつかないようなイメージだったが、スラックスとYシャツを愛し、浅黒くて目がギラギラし、嘘まみれでジッとこっちを見てくるゾンビのイメージに書き換わってしまった・・・。今後もっとよいイメージに書き換わることを期待して眠りについた。